紅茶は中国で不老長寿の霊薬として珍重され、その後イギリスを経由し、日本へとやってきました。紅茶には、それぞれ香りや味が違い、お茶独特の渋み成分の量も違います。紅茶の固有の香りや味わいを楽しむにはどのような紅茶の入れ方をすればいいのでしょう。
夏にとれる茶葉
紅茶は渋いという印象を持っている方がとても多いです。
これは紅茶の選び方によっても渋いお茶を避けることができます。
一般的に、夏前後に収穫された茶葉は渋いといわれており、滑らかな味わいで美味しいのは早春のみとされています。また、早摘みの茶葉は、胃が弱い人が飲んでも全く問題ありません。
しかし、夏から秋に向かうにしたがって渋味を呈するようになります。
夏の山菜はアクが強いのと同じように、紅茶も渋味が増します。
夏の渋い茶葉の飲み方
夏以降に収穫された緑茶や烏龍茶は、強く焙煎する事で、渋味物質の酸化を促進させ、渋味を軽減します。
レストランなどで出される烏龍茶、ペットボトルの烏龍茶をはじめ、日本に一般的に流通している安価な烏龍茶が茶色をしているのはこの為です。
夏以降にとれた紅茶は、ミルクをいれると、ミルクに含まれるタンパク質がお茶の渋味を呈する物質と合い、渋味が緩和されます。夏以降の茶葉が、ミルクと相性がいいのはこのような理由があります。
鉄分の多いポット
鉄分の含まれたポットは、紅茶のタンニンが鉄分と化合して香味を損なうだけでなく、紅茶の色を黒くしてしまいます。鮮やかな水色で、香りも楽しめるように、ポットにも気を配りましょう。
お店でもよく見かける陶磁器か、ガラス製のティーサーバー、または銀製のティーポットを使いましょう。無ければ緑茶用の急須でも大丈夫です。
抽出時間が長くなってしまったり、強く振りすぎたり、スプーンで押しつぶしたりすると渋みがきつくなるため注意します。
紅茶の水
水は、汲みたてのものを使います。
紅茶は日本の軟水との相性がよく、汲みたてで空気を多く含んでいれば尚良いです。
お湯は沸騰直後(100℃)のもので蒸らします。
ぬるい、または沸騰しすぎたお湯は、紅茶の香気成分がよく出ないため使いません。
イギリスと日本の水の違い
紅茶の本場といわれているイギリスの水は硬水です。
そのため、茶葉を長時間蒸らしたり、入れっぱなしにしてしまうこともあります。
お茶は渋みの元であるタンニンと旨みであるテアニンで主に構成されています。
日本の軟水で同じように蒸らすと、この渋みの元であるタンニンが出過ぎてしまいます。
とくに低発酵(低酸化)の緑茶やダージリンなどではその傾向が顕著です。
適量の茶葉を適度に蒸らす
茶葉は、その茶葉に合った水量と茶葉の量が決まっています。
その茶葉に合った水量よりも少なすぎる、または多すぎる茶葉で抽出することで、茶葉本来の味が引き出せず、タンニンだけが多く抽出されてしまったり、水にうまく紅茶の成分が溶けずに、渋い紅茶ができてしまいます。
紅茶の殿堂リプトンでは、ティーバック1袋に対して水はカップ1杯、蒸らし時間は1分~1分半が目安とされています。このように、紅茶に合った水量と蒸らし時間がそれぞれ記載されているので、それをしっかり守って、茶葉本来のおいしい紅茶を味わってみてください。

