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キーマンとは
キーマンはダージリン、ウバとともに数えられる「世界三大紅茶」の一つです。キーモン、またはキームンとも呼ばれています。
紅茶の生産地と言えばインドやスリランカが真っ先に思い起こされます。ダージリンはインドで、ウバはスリランカで生産されています。ところが、キーマン紅茶の生産地はインドでもスリランカでもなく、中国の安徽(アンキ)省です。そこは世界最古の紅茶の産地と言われており、清の時代から作られています。
中国の紅茶生産量はインドに次いで世界第二位ですが、国内での消費量は生産量の10%ほどというごくわずかの量です。残りの90%は輸出用にされます。中国紅茶なのに、国内よりも国外の消費量の方が多いのです。事実、海外には熱心なキーマンファンが多く、特にイギリスでは絶大な人気を誇っているようです。
キーマンの特徴
中国の茶葉は伝統的手法によるリーフタイプの工夫紅茶と、ブロークンタイプの分級紅茶の二種類があります。キーマン紅茶はどちらなのかと言うと、リーフタイプの工夫紅茶です。
キーマン茶葉は針状で細く繊細で、曲がった形状です。色は艶のある黒色になります。そのままの状態の乾燥茶葉からは、かすかにスモーキーな香りと花の蜜のような甘い香りが漂い、淹れたお茶からも同様の香りがします。上質なキーマン紅茶は飲み終えた後にも香りが残ります。それほどまでに甘く、強い香りを持っています。
キーマン紅茶の水色は黄色がかった澄んだオレンジ色となります。更に、上質なキーマン紅茶の場合、カップと水面の淵が金色の輪のように映り込むゴールデンリングが見られるときもあります。この特徴はウバと同じです。味や香りだけではなく、透き通った水色も楽しむことができます。
キーマンの茶葉
収穫期は6月~9月という短い期間で、収穫量も少ない貴重な茶葉となるのです。最高級品が取れるクオリティーシーズンは8月に収穫される茶葉で、高品質ゆえに驚く程の高値がつくこともあるくらいです。
アメリカのルーズベルト元大統領がキーマン紅茶をこよなく愛し、毎日飲んでいたという話があります。更にはイギリス女王の献上品として納められるなど、一般には出回らない紅茶葉も存在します。キーマン紅茶はそれほど希少価値が高いのです。
キーマンの茶葉の等級
キーマンの分級茶葉は8つのグレードにランク分けされます。
グレードが上がるほどに、香りや味が強くなる傾向にあります。特貢と貢茶は非常に高価で希少価値が高く、政府高官や国賓への贈り物として使われることが多いです。日本で流通している多くは、特茗以下がほとんどです。礼茶以上は日本ではあまり見かけられることがありません。
キーマンの入れ方
味と香りが特徴的なキーマン紅茶の美味しい入れ方を学びましょう。コクが増すミルクティーもよく合いますが、風味を味わうためにストレートで飲む方が適していると言えます。芳醇でまろやかな味わいと、花のような甘さと爽やかな香りを楽しむことができます。タンニンの含有量が少ないので、渋みが苦手でもあっさりと飲むことができます。
キーマン紅茶から漂う蘭や薔薇の香りに欧州人は東洋的神秘を見出し、ダージリンを「紅茶のシャンパン」と呼ぶ用に、キーマン紅茶を「紅茶のブルゴーニュワイン」と呼んで珍重してきました。