アールグレイとは
アールグレイとは、ミカン科の柑橘類であるベルガモットの香料で紅茶に香りをつけたフレーバーティーのことです。ベルガモットは食用ではなく、精油や香料で使われることが多いです。香水の原料にも使われています。
重要なのはベルガモットの香りです。ベルガモットで香りづけされた紅茶を「アールグレイ」と呼ぶので、原料となる茶葉は特に指定されていません。タンニンの少ない中国茶、セイロン茶が使われることが多いですが、まれにダージリンが使用されることもあります。
アールグレイの由来
「アッサム」や「ダージリン」は地名なので「アールグレイ」も地名と思われがちですが、それは違います。アールグレイの名前の由来は、イギリス首相チャールズ・グレイにあり、グレイ伯爵(EarlGrey)と呼ばれたことです。ある外交官から中国茶の正山小種を贈られて、その味をいたく気に入ったことから茶商に類似品を作らせたという説があります。
正山小種は、龍眼という果実で香りづけされています。龍眼とは中国特産の果実で、丸い形の実で茶色い皮に包まれています。中にはライチのような白い果肉が入っており、龍の目に似ていることからこの名前がつきました。
正山小種がイギリスに渡ったときイギリスで人気の紅茶となったため、当時の茶商たちは同じ味を作りたいと考えました。しかし、龍眼を見たことがなかったため同じ香りをつけることができず、代用品としてベルガモットで香りづけしたのです。正山小種の類似品として、アールグレイが誕生しました。
アールグレイの特徴
アールグレイの大きな特徴は、落ち着きのある芳香です。ベルガモットの芳香には、鎮静と高揚という正反対とも言える心理的効果があります。気持ちが高揚しているときはリラックス効果が、気持ちが沈んでいるときは明るく陽気な気分にしてくれるという効果を持っています。
アールグレイは、紅茶の中でも強い香りが非常にはっきりと分かります。一般的な紅茶の香りは温かいと引き立つもので、冷たいときはほとんど分からなくなるほど控えめな香りになります。アイスティーにしてしまうと紅茶の香りが台無しになってしまうのですが、人工的に香りづけしたアールグレイなら、アイスティーでも香りが分かりやすく、香りもしっかりと楽しめます。
強めに香りづけしたアールグレイはアイスティーで飲むことを前提としています。ホットにすると香りが強すぎて、慣れない人にとっては非常に飲みにくいものになってしまいます。
また、加熱しても香りが消失しないという特徴があるので、スイーツの材料に使われることもあります。
アールグレイの入れ方
ベルガモットの香りは、温度が高まるとミルクと相性の良い芳香となります。ホットで飲むときはミルクティーにして飲むと、より一層アールグレイを楽しむことができます。
アールグレイ好きな人に他の紅茶をおすすめしたいと思ったとき、アールグレイの「味」が好きなのか、「香り」が好きなのかでおすすめできる紅茶が変わってきます。
アールグレイの味が気に入っているのならば、ベースに使われることの多いキーマン、セイロンティー全般、ダージリンなどがおすすめです。香りが気に入っているのなら、オレンジやレモンといった柑橘系のフレーバーティーが良いでしょう。
アールグレイの効果
アールグレイに使われているベルガモットには鎮静、高揚以外にも以下のような効果があることが分かっています。
精神安定、ホルモンバランスの調整、リラックス効果、うがい薬、胃もたれの解消
更に最近の研究で皮膚・呼吸器・泌尿器系の感染症の治療に有効ということも分かってきました。

