100g 90円前後の安い豚のブロック肉を,高級店の豚肉料理並に柔らかく美味しく調理した通称『紅茶豚』の柔らかくなる原理や、作り方について紹介させていただきます。
目次
肉を柔らかくしてなおかつ健康にもなれる
紅茶で豚肉を煮ると、かたいブロック肉でも柔らかくなり、余分な脂分も落ちて、さっぱり美味しくなります。これは紅茶に含まれるタンニンという成分の働きです。
紅茶に含まれるタンニンとは
タンニンにはph(水素イオン濃度指数)を低下させ肉を柔らかくする作用と、肉や血液の悪臭成分と化学的に結合し別の成分に変化することで肉の臭みを消してくれる作用、タンパク質を固めて口の中をサッパリとさせる作用があります。
しかし、タンニンの作用を料理に活かそうとするなら、かなり濃い目に茶を煮だす必要があります。
料理にタンニンの効果を活かすために必要な濃度とは、飲んでみてかなりの渋味を感じるような濃度とされます。
紅茶豚の作り方
紅茶を使用することで柔らかくなる原理は分かったので、これから『紅茶豚』の作り方を紹介いたします。
【1】肉の煮込み方
たこ糸を巻いた豚ブロック肉(モモ肉か肩ロース肉)500gを、鍋にひたひたになるくらいの水のなかに紅茶(ティーバッグなら3袋・粉末なら大匙5杯)と一緒に入れ、蓋をして火にかける。
沸騰したら弱火にし、たまにアクを取りながら40分程煮こみ中まで火を通します。(目安は竹串を刺したときに透明な肉汁が出るようになるまでです。)
【2】漬け汁の作り方
煮込んでいる間に漬け汁を作ります。
別の鍋に醤油50cc・酒25cc・みりん 25cc・酢25cc・砂糖小さじ1/2弱を入れ、一煮立ちさせます。
【3】肉を漬け込む
茹でた豚肉を入れて少し冷まします。冷めたらビニール袋に漬け汁ごと全て入れ、冷蔵庫で時々肉の位置を変えて味を全体になじませながら、半日から一晩寝かせます。
【4】完成
食べやすい大きさに切って、皿に盛り付け漬け汁を掛けたら完成です。漬け込む時にゆで卵も一緒に漬け込んで、一緒に盛り付けて食べても美味しいです。
ポイント
【1】肉にたこ糸を巻くことで、煮崩れを防いで形良く仕上げることができます。
【2】肉をゆでた後、ゆで汁につけたまま粗熱を取るとやわらかく仕上がり、煮汁も染み込みやすくなります。
紅茶で煮込んで得られるほかのメリット
テアフラビン
紅茶に含まれているフラボノイドの一種『テアフラビン』は強い抗酸化力を持ち、殺菌効果や風邪・インフルエンザを予防する効果があります。
このテアフラビンという成分は、ポリフェノールの一種でカテキンが発酵してできる赤い色素であり、紅茶などに含まれております。炭水化物やタンパク質、脂肪の消化を促す働きをするアミラーゼを抑制するのもテアフラビンが関係しています。
カフェイン
紅茶に含まれるカフェインは、カフェインにはアドレナリンの分泌をうながす作用があり運動に必要なエネルギーをすばやく作り出してくれます。他にも安静時の代謝が上がり体内の脂肪を燃焼させる働きや抗アレルギー作用があります。血流を活発にさせ心臓に刺激を加えることができるので持久力向上にも役立ちます。
カテキン
カテキンはポリフェノールの一種であり、お茶の渋味成分であるため、茶カテキンとも呼ばれます。カテキンは強い抗酸化作用を有しており、活性酸素が人体の組織を攻撃するのを食い止め、病気に発展するのを防ぐ働きがあります。カテキンには、ガレート型カテキンと遊離型カテキンいう2種類に大きく分けることができます。この内ガレート型カテキンは脂肪を分解するリパーゼという酵素を働きを抑える働きがあり、食事中のコレステロールの吸収を抑えてコレステロールや中性脂肪を低下させる効果があります。
外はカリッ、中はムチッとした紅茶風味のファーブルトンの作り方
フランス・ブルターニュ地方の伝統的なお菓子、ファーブルトンに紅茶の風味をつけたレシピです。牛乳、生クリーム、卵ののコクと甘さがシンプルに味わえる、素朴で味わいのあるお菓子にアールグレイの香りをしみこませました。中に入れるフルーツはプラムがポピュラーですが、りんごなどでもおいしいです。
【材料】直径7cmのマフィン型6コ分
薄力粉 70g
グラニュー糖 40g
塩 ひとつまみ
牛乳 250cc
生クリーム 100cc
紅茶の葉 10g(アールグレイがおすすめ)
卵 1コ
卵黄 1コ
ラム酒 大さじ1
バニラオイル 小さじ1/2
ドライプラム(種なし)18粒
【作り方】
1.鍋に牛乳と生クリームを入れて火にかけ、沸騰したら紅茶の葉を淹れてそのまま人肌になるまで冷ます。冷めたら、茶こしを使ってボウルに移しておく。
2.型にバター(分量外)を塗る。オーブンは170℃にあたためておく。
3.ボウルに薄力粉、グラニュー糖、塩を入れて泡だて器でよくかき混ぜ、中央をくぼませる。溶いた卵を中央に流しいれ、泡だて器でゆっくりと混ぜる。
4.よく混ざったら、1の紅茶液を2~3回に分けて加え、その都度よくすり混ぜ、ザルやこし器などを使ってこす。ラム酒とバニラオイルを加える。
5.型にプラムを3コずつ入れ、4を9分目まで流し入れる。
6.170℃のオーブンで50分ほど焼く。
【ポイント】
牛乳と生クリームは鍋からふきこぼれる寸前までしっかり沸騰させることがポイントです。この沸騰が足りないと、焼いているときに牛乳が沸騰して焼き上がりがでこぼこになります。紅茶の葉は煮出したて茶こしを通したら、最後スプーンなどでぎゅっと押して濃い目の紅茶液にすると香りがよくでます。ミルキーなファーブルトンにアールグレイの風味がよく合います。
もちもちしっとり、紅茶風味のさくらんぼのクラフィティの作り方
フランス・リムーザン地方の伝統的なお菓子のクラフィティは、カスタード生地に果物を入れて焼き上げた簡単デザートです。タルト生地に流し込んで焼いたタイプもありますが、今回はタルト生地を省略して、少し深さのある型で焼き上げてもちもちしっとりとした口あたりにしています。紅茶の風味は、ファーブルトン同様、牛乳と生クリームを沸騰させたものに入れて煮出します。
【材料】直径16cmくらいのブリオッシュ型または丸型2台分
薄力粉 60g
グラニュー糖 100g
塩 ひとつまみ
牛乳 200cc
生クリーム 100cc
無塩バター 30g
紅茶の葉 10g(アールグレイがおすすめ)
卵 2コ
キルシュ 小さじ1
さくらんぼ(缶詰可) 100g
【作り方】
1.鍋に牛乳、生クリーム、バターを入れて火にかけ、沸騰したら紅茶の葉を淹れてそのまま人肌になるまで冷ます。冷めたら、茶こしを使ってボウルに移しておく。
2.型にバター(分量外)を塗る。オーブンは170℃にあたためておく。
3.ボウルに薄力粉、グラニュー糖、塩を入れて泡だて器でよくかき混ぜ、中央をくぼませる。溶いた卵を中央に流しいれ、泡だて器でゆっくりと混ぜる。
4.よく混ざったら、1の紅茶液を2~3回に分けて加え、その都度よくすり混ぜ、ザルやこし器などを使ってこす。キルシュを加える。
5.型に4を流しいれ、さくらんぼを加える。
6.170℃のオーブンで50分ほど焼く。
【ポイント】
クラフィテイもファーブルトンと同様、牛乳と生クリーム(とバター)は鍋からふきこぼれる寸前までしっかり沸騰させてください。表面がなめらかになるように焼き上げるには、この沸騰がポイントになります。紅茶風味のカスタードデザートのクラフィティ、ぜひお試しください。

